探究活動から始まる「0to1(ゼロ トゥ ワン)」

成蹊高等学校

これからの時代を見据えたPBL型の探究活動を推進する成蹊高等学校。
今回は、昨年度から新たに始めた2つの探究活動とターム留学の様子をご紹介します。

楽しみながら主体的に学ぶ「学習旅行×探究」

 成蹊高等学校(以下、成蹊)は、本物に触れる学びから幅広い教養を身につけることにより、解答のない社会であっても、新たなものを創造する「0to1」の発想を持つ人材の育成に力を入れています。
 
 「本校は30年ほど前から独自の探究学習を行っています。これからはいまの時代に合った内容にブラッシュアップして生徒の主体性がもっと発揮できるような取り組みを行っていきます」と語る仙田直人校長先生。昨年度から新たに取り組まれたのは、「学習旅行×探究」。コロナ禍でここ数年中止になっていた高2学習旅行の行き先を高1全員で探究しながら考える企画です。
 
 「学習旅行×探究」では、高1の全生徒を88班に分け、昨年10月から生徒が主体となり学習旅行のコンセプトに沿った旅行案を考えました。今年2月に選抜されたクラス代表8組と教員推薦1組が生徒や旅行業者に向けてプレゼンテーションを実施。結果、日程や料金などを考慮し7組の案が検討されることになりました。その旅行先は、日本の農業の未来について考える青森方面やSDGsを学ぶ沖縄方面など全国各地にわたっており、今年の7月・8月・12月に分散して実施される予定です。
 
 「『学習旅行×探究』を生徒は楽しんで取り組みましたが、一方で多様な意見を集約する難しさも体験したと思います。人の心を動かすプレゼンテーションの重要性もわかったと感じています。今後も探究学習と絡めながら生徒主体のプランで学習旅行を行っていきたいと考えています」と仙田校長先生。今回採用されなかった班のなかには、自分たちの企画を自分たちだけで実行する班もいるそうです。

それぞれに工夫された「学習旅行×探究」のプレゼンテーションの様子。

スタートアップキャンプ In 五島列島

 一昨年度から始めたアントレプレナーシップを養成するスタートアップ講座ですが、昨年度は学校を飛び出し、五島列島の福江島をフィールドにしたPBL型研修として開催されました。昨年8月に4泊5日の行程で実施されたこの研修は、自分たちで事前に考えてきた課題に対し、福江島の方々へヒアリングを行い、その課題を検証し、そのうえで解決策を考え現地の方にプレゼンテーションするという探究活動です。今回参加した12名は3班に分かれ、それぞれにテーマを設定し、事前の探究活動を行い、現地研修に臨みました。

 現地1・2日目は、堂崎天主堂や高浜ビーチを見学、椿油や塩の生産者にインタビューするなど、福江島の色々な場所を巡りました。3日目は班ごとのテーマに沿って五島市役所や五島市観光協会へのヒアリング、長崎県立五島高校とのディスカッション、ドローンを活用した医療事業者との話し合いなどを精力的に行い、夜は宿泊所で課題解決に向けたブレインストーミングを重ねました。そして4日目の午後に各班による課題解決の提案を現地の方に向けてプレゼンテーションしました。

 「初めて訪れるフィールドで、課題解決に向けてどんな提案ができるだろうかという、そのワクワク感が楽しかったという生徒の声がとても印象的でした。この研修は2学期以降も継続しており、課題解決に向けた新たな提案が生まれてくることを期待しています」(仙田校長先生)

五島列島で行われたスタートアップキャンプ、「さとうのしお」の皆さんと。
五島高校の生徒と教育の課題についてディスカッションする様子。

従来の海外研修に加えカナダ・ターム留学を開始

 成蹊では、2023年1月から約9週間の日程でカナダ・ターム留学を開始しました。1学期及び2学期の成績が一定以上あれば進級を認めるスキームを採用し、今回は高1・高2の22名が参加しました。

 留学期間中はホームステイをしながら、最初の3週間はバンクーバー市内の語学学校で様々な国の人たちと一緒に英語を学び、その後バンクーバー郊外のアボッツフォードで6週間現地の高校に入って学校生活を過ごしました。

 留学した生徒からは、「語学力の向上以上に異文化を体験したことが大きな経験になった」「一歩踏み出す勇気がどれほど大切かが身に染みて分かった」「これからどんな人生を送れるかは自分次第だ」など、この留学を通して成長した様子が数多く報告されています。

 最後に、成蹊の未来について仙田校長先生にうかがいました。
 「いま国内で行っている探究学習を、今後は本校の国際理解教育と絡めて海外で実施したいと考えています。そこで本物のアントレプレナーシップに触れ、スタートアップで成功した人たちの発想も学んでほしいのです。物事の常識にとらわれることなく、卒業後も『0to1』の精神を忘れず、世界をフィールドにそれぞれの探究を続けてくれれば嬉しいです。そこに本校がめざす未来があると確信しています」(仙田校長先生)
 
 成蹊大学へは約3割、東京大学をはじめとした他の難関国公立・私立大学へ約7割が進学する成蹊。首都圏で、いまもっとも活気あふれる高校の1つです。

ターム留学。現地校では、担当教員がサポートしてくれ心強い。

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※2023年「サクセス15」夏増刊号掲載の記事広告を転載

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