異文化を受け入れながら自分を表現できるリーダーに
成城中学校
創立以来、「知・仁・勇」の精神のもと、知徳に優れたリーダーの育成に取り組んできた成城中学校。
今回は、2021年度のカリキュラム改変で新設された3つの独自授業と、グローバル教育について、
3人の先生にお話を伺いました。

3つの独自授業で表現力・発信力を磨く
2025年に創立140年を迎える成城中学校(以下、成城)。校章の「三光星」が示す「知(深い読み取りのできること)・仁(相手の立場に立って考えられること)・勇(勇気を持って決断できること)」を備えたリーダーを育成するため、生徒の自己確立を促す様々な教育プログラムを行っています。
独自授業の「国語表現」「英会話」「数学統計」では、それぞれ日本語、英語、統計データを使って、「自分」を表現するための力を育成しています。
「国語表現」(中1〜中3)では、話しあいやプレゼンテーションで自分の意見を他者に発信する力を養います。なかでも特徴的なのが、図書館との連携授業。「この本の魅力を伝えるには『だれに・なにを・どのように』表現するのが効果的なのか」を分析して本のポップを作る取り組みや、班になって数冊の本を回し読みし、印象に残った本の要点をまとめてクラスメイトに発表する「点検読書」などが行われています。
「点検読書では、短時間で要点を読み取るインプット力、考えたことを仲間と共有し、協働して意見をまとめるアウトプット力を高めます」と話すのは、中島裕幸教頭先生です。
「今後自ら勉強を進めていく際に、図書館で必要な本を探し、調べ、まとめる作業は必須です。中学のうちは多くの本に触れ、そのなかで本の使い方や、伝えたいことを正しく表現するための力を磨いてほしいです」(中島教頭先生)
英語科では通常授業に加え、会話で自分を表現する「英会話」(中1〜中3)を実施しています。授業のほとんどの時間を使い、会話を行うこの授業。英語科の城佳範先生は、「『失敗したくない』という気持ちから、なかなか話せない生徒もいます。しかし英語は言語です。まずは簡単でもいいので、会話を通して自己を表現し、互いの理解を深めてほしいと思っています」と話されます。テストはネイティブ教員との1対1の会話形式です。生徒は使い慣れた英語表現を駆使しながら、リラックスして会話に挑戦しているそうです。
「数学統計」(中1)では、情報リテラシーやタッチタイピングのほか、政府が公開している統計データなどを使用して、自ら表やグラフを作成・分析し、その結果を活用する取り組みに挑戦しています。
「『中1の月々のお小遣いの金額』という統計データを使った際には、分析結果をもとに『お小遣いの額をアップしてほしい』と主張しようとした生徒が多くいました(笑)。しかし結果的には、『この統計は交渉材料にできない』という結論に達した生徒がほとんどのようです。ここで重要なのは、『多くの情報から必要なものを選び、活用したうえで、このデータでは主張できない』という結論に行きついた過程そのものです。これをきっかけに、『このデータは自分に有用なものなのか』を考える癖をつけてほしいです」(中島教頭先生)


世界を通して自分を見つめる「成城版グローバル教育」
独自授業を通して表現力・発信力を磨く成城生。その力が存分に活かされるのが、希望者を対象に行われるグローバル研修プログラムです。
「グローバルスタディズ・プログラム」(中3〜高2)では、ベーシック(中3)・スタンダード(高1)・アドバンスト(高2)の3コースを用意しています。コースをまとめるファシリテーターのもと、グループリーダーの留学生を中心に、5日間かけて英語で議論・企画・発表に取り組みます。
「この期間は一日中英語を使うことになるので、言葉通り『英語漬け』になります。しかし毎年、英語に苦手意識を持つ生徒も果敢に挑戦しています。成城での学びが複合的に積み重なることで、『失敗してもいいから、自分の実力を試したい』という気持ちが生まれるのではないでしょうか」(城先生)
徹底的に英語力を磨き上げるグローバルスタディズ・プログラムに対し、ホームステイをしながらホスト校に通う「オーストラリア・グローバルリーダー研修(中3〜高2)」、現地の学生との交流や企業訪問を行う「台湾・グローバルリーダー研修(高1・高2)」では、「本物に触れる」体験を重視しているといいます。
英語科の松垣雅彦先生は、「これからの社会で役に立つ人材になるには、『世界には自分とまったく違う価値観、文化背景を持った人々がいる』ということを知る必要があります。実際に海外に足を運び、ホームステイ先で英語が通じず悔しい思いをしたり、海外で働く日本人から話を聞いたりした経験そのものが、彼らを世界で活躍する『グローバルリーダー』にしていくと考えています」と話されます。
英語力の向上だけでなく、異文化で暮らす人々とかかわるなかで「自分」を知り、自己確立をめざすのが、「成城版グローバル教育」の大きな特徴なのです。
このように、成城生は6年間での様々な経験を通し、他者の意見を受け入れ、そして自分の意見を発信していくための力を養っていきます。こうした日々の積み重ねが、生徒を「知・仁・勇」を兼ね備えた人間へと成長させていくのでしょう。


※2023年「サクセス12」9・10月号掲載の記事広告を転載
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