藤村女子中学校　2024

　１９３２年の創立以来、「知・徳・体」を兼ね備えた個性豊かな女子の育成に取り組む藤村女子中学校・高等学校（以下、藤村女子）。これからの新しい時代に必要とされる人間力を育てるための教育改革が進行中です。

　「これから生徒たちが生きていく時代は、私たちが想像できない世界だと思います。その時代を生き抜いていくためには、自ら考え行動する力が必要になってきます。これを本校では『生きる力』とし、中学では３つのオリジナル授業『自己表現』『自己探究』『自己研鑽』と『ふじ活』とよぶ探究を行い、高校では３つのコースを用意して、生徒それぞれの得意分野を伸ばしていきたいと考えています」と校長の廣瀬真奈美先生は話されます。

　中学で週１時間行われているオリジナル授業のうち、まず「自己表現」の授業で培うのは、おもにプレゼンテーションの力です。「自分の思いを的確に伝える」ことを意識した資料のつくり方や発表の仕方、さらに聞き手としての心がまえなど、プレゼンテーションにまつわるさまざまなことを学び、実践していきます。英語での発表や、外部コンクールへの出場など、多様な手法で生徒の力を伸ばしていきます。

「自己探究」は、世の中の多彩なエンターテイメントを学問の視点から学んでいくユニークな授業です。
　「いくらＡＩ（人工知能）が発達しても人の感情を揺さぶるのは人間の力の方が長けているはずです。この授業では人を喜ばせる楽しさを知り、人びとの感情をどう動かしていきたいのか、そしてどんな職業に就きたいのかを考えるきっかけにつながればと考えています」（廣瀬校長先生）

　「自己研鑽」は、漢検・英検などの検定試験合格をめざして、少人数のグループで教えあい、学びあう時間です。導入３年目となり漢検・英検の合格率も上がっており、今年度から中１・中２では、それぞれの取得級に分けた授業を行っています。また、英語の授業では、英検準２級以上の生徒は、週５時間の授業のうち３時間をネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業を行うなど、「自己研鑽」の成果が徐々に見え始めています。

　「仲間と一緒に取り組むことで、生徒同士の学びあいが広まっていて、教員はファシリテーターとして生徒に寄り添いながら授業を進めています」（廣瀬校長先生）。

　藤村女子では、以前から行ってきたフィールドワークを「ふじ活」という探究学習として実施しています。中１～中３が学年の枠を越えてグループを組み、３年間かけて吉祥寺の街を舞台に６種類のフィールドワーク（探究活動）に取り組んでいます。

　「『ふじ活』は課題解決型の探究です。３学年を縦割りでグループ分けしていますので、各学年とも刺激を受け、とてもいい相乗効果が生まれています」（廣瀬校長先生）

　そして、高校では３つのコースで、生徒の個性を伸ばしていきます。
　まず、「アカデミッククエストコース」では、「興味を広げる」探究学習を行っています。将来の進路を考えるうえで、自分の興味関心を知ることがまず大切です。そのために、高１では現代社会の課題と向きあった課題研究論文の作成や吉祥寺が抱える課題について杏林大学のゼミに参加し、大学生と協働しながら解決策を探る「地域活性化プロジェクト」などさまざまな体験をしていきます。
　そして高２では、企業が提示する課題について考え、解決方法を企業にプレゼンテーションをします。

　つづいて「キャリアデザインコース」でポイントとなるのは「自分を深める」です。高1では、世界に１つだけの修学旅行を自分たちで創りあげる「修学旅行をプロデュース」を実施、情報経営イノベーション専門職大学の教授による「マーケティング」「リーダーシップ」「マネージメント」の講義などが開講されます。

　そして、３つ目の「スポーツウェルネスコース」は、アクティブな学びをとおして、人がより健康に生きるためのウェルネス社会について考えていきます。特色は、「スクーバダイビング実習」「スポーツ栄養学」「テーピング実習」「セルフメンタルマネージメント」など、従来の「保健体育」の枠には収まらない実習を行っている点で、順天堂大学の女性スポーツ研究センターと協定を結び、リーダーシップに特化した学びも行っています。そして２年生からは、個々の進路に合わせて「教育・医療専攻」と「スポーツ健康専攻」に分かれ、より深い学びを行っていきます。

　また、藤村女子では、今年度から自習室をリニューアルしました。大学生の学習メンターに質問しながら仲間と一緒に学びあう「メンターカフェ」、１人で静かに集中する「サイレント自習室」、そして進路について相談できる「学習相談室」の３つの自習室を用意し、90以上の放課後講座などで生徒の進路実現をサポートしています。

　２０２４年度入試では、「自己アピール入試」（1日・午後）を新たに導入します。また、今春から導入した「国語１科目表現力入試」（１日・午後）も実施、「適性検査型入試」（１日・午前）の検査問題は、今年度入試と同様に都立三鷹中等教育学校を意識した問題に特化します。

　「『自己アピール入試』では、自分の得意とするものを、プレゼンテーションでも身体表現でも、どんな形でもかまいませんので、思いっきり表現してほしいです。また、『国語１科目表現力入試』は、私が作問しますので、みなさんが取り組みやすい問題にしようと考えています。
　これからの世界は、ますます先行きが不透明で予測が困難な時代になっていくと思います。だからこそ、みなさんには、自分の限界を自分自身で決めずに色々なことにチャレンジするマインドを持ってほしいと思います。その土台をつくるのは中高だと思いますので、本校ではみなさんがそれぞれ持っている個性、得意を伸ばしていける学びを行っていきたいと考えています。そしてみなさんも自分自身を肯定して、自分も社会のりっぱな一員だという意識をもって中学へ入学し、学びを続けてください」（廣校長先生）

　新たな教育プログラムを導入し２年目となる藤村女子。生徒をワクワクさせる改革が進んでいます。

2023年度学校説明会