学習への意識を変える IGSの「ベトナム研修」

八千代松陰中学校 2027

八千代松陰中学校には、習熟度別授業によって学力を着実に伸ばせる「LR(レッスンルーム)コース」、確かな
学力に加え、思考力や表現力も大いに磨ける「IGS(6ヵ年特進)コース」の2つが用意されています。今回は
「IGS(6ヵ年特進)コース」、なかでも特徴的な「ベトナム研修」について、生徒の声とともにお伝えします。

事前学習を経て現地で様々な取り組みを

青空のもと、ハロン湾 を船でめぐりました

 2024年春、八千代松陰中学校(以下、八千代松陰)に誕生した「IGS(6ヵ年特進)コース」(以下、IGS)。「最難関大学への進学」「キャリアデザインの構築」「グローバル感覚の確立」をキーワードに、大学入試に向けた学力に加え、論理的な思考力や豊かな表現力の育成をめざしています。通常の授業以外にも、発展的な内容に取り組む「IGSハイレベルゼミ」、医学部セミナーやアジア経済研究所を訪れる校外学習など、魅力的な取り組みが展開されています。
 そのなかでも特徴的なのが中1・2月のベトナム研修です。入学後1年経たない時期に実施することについて、IGSの担任を受け持つ前川大知先生は「生徒たちはこれまで、中学受験に向けて正解が示される学びに取り組んできました。しかし社会では、正論をもってしても解決できない問題に多く出会いますし、世界に目を向ければ、自分の常識がゆらぐことも少なくありません。また、英語力の必要性も感じるでしょう。そうした経験を早い段階ですることで、学びへの意識が変わると考えています」とその意義を語ります。

日本国際学校の生徒と英語を 使っていっしょに学びます

 生徒は、事前学習としてベトナムの基本情報を知るとともに、グループごとにベトナムの社会問題について「問い」「仮説」を立て探究を進めます。探究の成果は、現地にある日本国際学校で発表します。
 「日本国際学校には、日本語を学びたいと考えるベトナムのご家庭のお子さんが通っています。そのご家庭にホームステイさせていただき、学校の授業にも参加させていただきました。先生方には探究成果に対する評価もお願いしました。生徒にとっては厳しいと感じる意見もあったと思いますが、きちんと受け止め、次の学びにつなげようとする姿に頼もしさを感じました」(前川先生)

ベトナムの食も堪能します

 日本国際学校での交流のほか、現地の大学を訪れてキャンパスを見学したり、大学生と英語でグループワークに取り組んだりと、盛りだくさんの内容です。帰国後は、現地での調査や体験をふまえて探究をブラッシュアップし、上級生に向けて発表します。
 生徒たちはどのプログラムにも、楽しむことを忘れずに積極的な姿勢で臨んでいたといいます。「彼らは日ごろから、いまはなにを学ぶ時間か、どうしたら成長の糧となるかを意識しながら行動してくれています」という前川先生の言葉からも感じられるように、生徒たちは学びに真剣に向きあっています。そんな彼らの成長を促す仕かけが、IGSには散りばめられているのです。

ベトナム研修
生徒たちの声

中2・池野 ひかり(いけの ひかり)さん

 事前学習では、ベトナムの方と結婚された、八千代松陰の卒業生の方が講師として来てくださり、あいさつなどを教えてくださいました。ベトナム語では、「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」がすべて同じ言葉だったり、「気をつけ」の姿勢が日本と違ったりと驚きがありました。
 探究テーマは、屋台街の衛生面です。食中毒が発生しているのですが、現地の方々は耐性があるようで、大きな問題とは思っていないそうです。しっかりと調べたつもりでも、現地の方の視点だと必ずしも一般論が当てはまらないこともあります。もっと学びを深めるべきだと実感しました。 私は絵を描くのが好きで、日本国際学校で絵が上手な人に英語で話しかけてみたら仲よくなれて、いっしょにたくさんの絵を描きました。とてもいい思い出です。
 英語がうまく通じないときもありましたが、一生懸命に話そうとすれば、周りの人もサポートしてくれますし、理解しようと耳を傾けてくれます。行動することの大切さを実感した研修でした。


中2・郭 子豪さん(かく しごう)さん

 IGSはまだ設置されたばかりで、ぼくたちが2期生です。新しい学びができることに魅力を感じて入学しました。
 ベトナムは水質汚濁の改善に向けた取り組みを強化していますが、あまりうまくいっていないのが現状で、それを探究テーマにしました。原因の1つに国民の関心の低さがあるのではないかと考えたところ、そのようでした。クラスメイト全員のホームステイ先でアンケートを取ると、大人は3分の1、子どもは4分の1しか、国が行っている取り組みについて把握していなかったのです。
 日本国際学校でのプレゼンテーションは日本語で行いましたが、発表を聞いてくれた現地の生徒たちは必ずしも日本語が堪能ではなかったので、「ゆっくり」「はっきり」など、相手によって話し方を変えるべきだと学びました。
 ベトナム研修を通じて、言語は人と人をつなぐためのものだと改めて感じたので、今後は、「使うこと」をより意識して英語を勉強していきます。


中2・河瀬 実璃(かわせ みのり)さん

 ベトナム研修では、日本国際学校の生徒や大学生と基本的に英語で会話をします。研修前には、父にも協力してもらいながら、自宅でも英語力を磨いたので、その成果を発揮できたと思います。大学生と将来の夢について発表するグループワークをしたときは、ジェスチャーも交えながら、積極的にコミュニケーションを取るように心がけました。
 私のグループはゴミ問題について探究しました。内容は日本で十分に練っていたのですが、発表ではつい早口になってしまったので、その反省を次に活かしたいです。
 日本国際学校で参加した日本語の授業は、相撲などの日本文化がテーマで、自分の国のことでも意外と知らないことが多くありました。授業以外にも、現地の生徒とリバーシやチェスを楽しんだり、民族衣装を着させてもらって写真を撮ったりと、充実した時間を過ごせました。
 今度また海外に行くときは、事前にその国についてより多くの知識を身につけ、さらに充実したものにしたいです。


中2・武田 朔(たけだ さく)さん

 ぼくがIGSを志望した理由の1つが、ベトナム研修があることでした。八千代松陰のIGSだからこそ経験できるプログラムだ
と感じたのです。
 探究のテーマは交通渋滞です。ベトナムはバイク大国で、それが渋滞の原因にもなっています。他国での取り組みも調べ、渋滞の緩和に有効な方法について考えていったのですが、ホストファミリーに話を聞いたところ、「そもそも渋滞しているとは思っていない」という答えが返ってきてしまいました。物事を自分の常識に照らしあわせるのではなく、別の視点からみることの大切さに気づかされました。
 ベトナムでは、クラスメイトとの仲もいっそう深まりました。ハロン湾に向かう船の甲板で遊んだトランプはとくに盛り上がり、記憶に残っています。
 日本国際学校で英語の授業に参加したところ、難しくてすべてを理解することはできなかったので、これから英語の勉強にさらに力を入れようと思います。そして将来は海外で働きたいです。


中2・楊 珂瑶(よう かよう)さん

 私は池野さんと同じグループで探究をしました。屋台街での食中毒は、観光客にとっては大きな問題のようです。現地の大学生に案内してもらって屋台街を訪れてみると、排気ガスの影響なども原因の1つとして考えられ、実際に行ったからこその学びを得ました。
 交流した大学生のなかに、アニメが好きという私と同じ趣味の方がいて、いまでもメールで連絡を取っています。基本的には英語でやり取りをしているのですが、笑いを表現しようと「www」と送ったら、ベトナムでは「LOL」と表現するといわれ、こうしたところでも違いがあると知りました。自分の「当たり前」で物事を考えるのではなく、相手について理解を深め、そのうえでかかわりを持つことが大事なのだと感じました。
 ホストファミリーになにかお土産をと考えて、日本の文房具をプレゼントしたら、想像以上に喜んでくれて、お返しにベトナム土産をたくさんもらったことも、心温まる思い出です。

※「サクセス12 2026年11・12月号」掲載記事より転載。

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