「グローバルセンター」開設! ~17の力と探究学習~
富士見中学校
建学の精神「純真・勤勉・着実」を大切にし、「社会に貢献できる自立した女性の育成」に取り組む富士見中学校高等学校(以下、富士見)。
2021年度より、「グローバルセンター」を開設し、生徒一人ひとり夢の実現に寄り添っています。

多様性を理解尊重し世界的視野を広げる
富士見では、これまでにも様々な海外研修や留学生との交流など数多くのオリジナルプログラムを実施していますが、2021年度より「グローバルセンター」を開設し、新たな取り組みを始めています。
「グローバルと聞くと、海外のことと考えがちですが、国と国との境をなくし、人と人との垣根をなくした環境と考えることもできると思います。こうしたグローバル社会で、生徒一人ひとりが多様性を理解尊重し、地球規模の視野で物事を考えて行動できるよう、そして将来の選択肢を広げることができるようにグローバルセンターを開設しました」とグローバルセンター長の伊藤恭子先生は話されます。
「グローバルセンターが開設して初めて実施したのが、zoom配信した「海外大学進学ガイダンス」です。200名を超える保護者の方に視聴していただき、なかでも中学生の保護者が多くいらっしゃいました。参加者アンケートを見てみると、実際に海外大学への進学を考えているというよりも、海外大学も1つの選択肢として情報を得たかったという方が多くいらして、その意識の高さに驚きました。グローバルセンターは、生徒の視野をもっと世界へ広げたい、選択肢を広げたいという趣旨から始まっていますので、私たちの考えが間違っていなかったと安心しました」(伊藤先生)
富士見では、例年、夏期休暇中に高1の希望者を対象に、オーストラリアとアメリカで3週間の語学研修を実施しています。今年はコロナ禍の影響で中止になりましたが、グローバルセンターが企画したアメリカ・オレゴンとフィリピン・セブの2本のオンラインプログラムが実施されることになりました。
アメリカ・オレゴンは5日間のプログラムで、前半3日間は語学レッスン、後半2日間は現地ホストファミリーとの交流があり、日本の良さを英語でプレゼンテーションする機会もあります。フィリピンは3日間のプログラムで、前半はフィリピンを知ることと語学レッスン、後半は現地に住む日本人女性が主催する「寺子屋」に参加している子どもたちと交流をします。国内から参加できるため、今回は中1から高2を対象に募集をした結果、それぞれ30名ほどの生徒の応募があり、中3の参加者が一番多くいたそうです。
「セブのオンライン研修では、貧困について扱ったレクチャーもあるので、SDGsについて探究する高1の生徒も参加します。今後は、「17の力」を身につけるための探究学習と関連づけた研修も進めていきたいと考えています。また、海外に興味がある生徒だけではないので、世界って意外と日本での生活と繋がっているんだよ、とうことが意識できるような情報やプログラムの発信も考えていきます」(伊藤先生)


探究学習とルーブリックで「17の力」を身につける
富士見では、社会に貢献できる自立した女性には「自分と向き合う」「人と向き合う力」「課題と向き合う力」の3つの力を身につける必要があると考えています。この3つの力はさらに、「自分の意見を形成する力」「人を巻き込む力」「課題を発見する力」といった「17の力」に分類され、学校生活のあらゆる場面で、生徒が自然と身につけていけるように工夫されています。
その代表的プログラムが探究学習です。中学では、まず探究に必要な基本的スキルを身につけていきます。中1では「モノ」をテーマにした「モノ探究」で、疑問を持つこと、そしてその疑問を出発点として課題を設定することを学びます。中2は「ねりま探究」を行います。5人ずつのグループに分かれて練馬区内にある「石神井ふるさと文化館」「練馬観光センター」「中村橋商店街」「貫井図書館」の抱える課題について考え、解決法を提案します。中1・中2は全員が同じテーマで探究を行いますが、中3では3年間の集大成として、自分で探究テーマを決めて「my探究」を行い、論文にまとめます。
そして、高1では1年間SGDs探究を行い、高2・高3では自分の興味・関心ごとと社会の課題をつなぎ探究する「学びの履歴書」にチャレンジします。この中高6年間の探究学習を通して、生徒たちは自分の将来のキャリアを真剣に考えるようになっていきます。さらに今夏から「ハテナソン」という富士見オリジナルの探究プログラムを実施する予定で、謎めいたプログラム名に興味津々です。
また、富士見には、「17の力」それぞれについて、生徒自身が自分を客観的に評価するためのルーブリックがあります。「学習に限らず、あらゆる教育活動でルーブリックを活用して、自分の現状を把握していきます。そして、年度末には全項目について振り返りを行い、自分にこの1年どんな力がついたのか、どんなときにその力がついたと思うかなどを記述しながら、じっくりと自分自身を見つめ直します。そして、来年度に向けて、特にどんな力を、どのように伸ばしていくか、目標を立てていきます。
この振り返りを行うことで自己肯定感が高まり、自分の課題点をしっかり認識したうえで、これまで以上になにごとにも主体的に取り組んでいくようになります。本校の教育を進めるなかで、ルーブリックはなくてはならないものになっています」と高校教頭の小村修先生。
2020年度には、東京理科大学との連携協定を締結し、今後、探究学習と融合したさまざまなサイエンスプログラムを企画している富士見。算数1科入試の受験者増もあり、理数教育にもさらに力を入れています。
School Information
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